味覚と食事を整える考え方
健康診断の結果を受け取って、食生活を見直したほうがいいのだろうか、と考えたことはありませんか。
そう思っても、次に出てくるのは別の疑問です。何から手をつければいいのか。
塩分でしょうか。糖質でしょうか。それとも量そのものでしょうか。調べれば情報はいくらでも出てきますが、どれも正しそうで、どれも大変そうです。そうしているうちに、日々の食事は変わらないまま過ぎていきます。
当社は、身体に関わる仕事をしています。その中で、食事についてご質問をいただくことがあります。
そのときにお伝えしているのは、特定の食品を勧めることでも、何かを禁じることでもありません。身体という器と、食事という中身、という捉え方です。
器の状態が整っていなければ、良い中身を入れても収まりが悪い。中身が整っていなければ、器だけを整えても続かない。どちらか一方ではなく、両方が関わっているという見方です。
このページでは、その考え方をご説明します。
特定の食品を勧めるものでも、病気の予防や治療について述べるものでもありません。日々の食事を考えるときの、一つの見方としてお読みいただければと思います。
身体という器と、食事という中身
身体を整えることと、食事を整えること。この二つは、別々の取り組みとして語られることが多いように思います。
当社は、これを器と中身の関係として捉えています。
器というのは、身体そのものです。姿勢、動き、日々の状態。中身というのは、そこに入っていくものです。食事、水分、そして生活のリズム。
器がゆがんでいれば、中身は安定しません。中身が偏っていれば、器を整えても元に戻りやすい。どちらかを完璧にすることよりも、両方に少しずつ目を向けることのほうが、現実的だと考えています。
食事を見直そうとするとき、多くの方が中身の話だけを考えます。何を食べるか、何を避けるか。けれど、それを受け取る器の側も、同じ日々の中にあります。
このページでは中身の側、つまり食事について書いていますが、それが器と切り離せないものだという前提は、最初にお伝えしておきます。
味覚という感覚について
人が舌で感じる基本の味は、甘味、塩味、酸味、苦味、うま味の五つとされています。
五味とうま味
この五つは、それぞれ食べ物の性質と結びついていると考えられています。甘味は炭水化物、うま味はたんぱく質のありかを知らせる味だと考えられており、酸味や苦味は、腐敗や毒性を判断する手がかりになってきたとされています。人が食べ物を選ぶうえで、長く働いてきた感覚です。
日々の食事では、この五つが組み合わさって、一つの味として感じられます。
素材の味を感じる感覚を育てていく
素材そのものの味というのは、この組み合わせの中にあります。野菜の甘み、魚のうま味、海藻の塩気。強く主張するものではないので、濃い味に慣れていると、意識しないまま通り過ぎることがあります。
濃い味に慣れすぎると、素材本来の味を感じにくくなることがあります。これは感覚が失われるという意味ではなく、注意の向け方の問題です。
だしを引いた汁物を、何も加えずに一口飲んでみる。野菜を塩だけで食べてみる。そうした場面を時々作るだけでも、感じ方は変わってきます。
このページで「味覚を整える」と書いているのは、こうした意識の向け方のことです。感覚の働きを医学的に回復させる、という意味ではありません。
朝の一杯という選択肢
就寝しているあいだに、身体からは水分が失われていきます。朝に何か一杯飲むことを習慣にしている方は、少なくないと思います。
常温の水、白湯、お茶。選択肢はいくつもあります。その一つとして、だしを湯で溶いた一杯を挙げることもできます。
お湯を注ぐだけです。特別な準備は要りません。


薬味も塩も足さなくても、だしそのものの味がしっかりと感じられます。
ただし、濃い味に慣れていると、最初は薄く感じるかもしれません。その「薄い」という感じ方そのものが、いまの自分がどのくらいの濃さに慣れているかを知る手がかりになります。
そのうえで、好みに応じて塩や薬味を加えていただけます。素材の味を確かめてから加えるという順番だと、自分にとってちょうどよい濃さが分かりやすくなります。
原材料を確認して選ぶという考え方
食品を選ぶとき、当社がお伝えしているのは、原材料表示を見る習慣を持つことです。
これは、何かを避けるためではありません。自分が何を口にしているかを知っておく、というだけのことです。
パッケージの裏面には、使われている原材料が、量の多い順に並んでいます。数分もかかりません。知ったうえで選ぶのと、知らずに選ぶのとでは、同じものを選んだとしても意味が違います。
見慣れない名前が並んでいることもあります。そのとき、すぐに良し悪しを判断する必要はありません。そういうものが入っている、と知っておくだけで十分です。
食品の作り方には、それぞれ理由があります。価格を抑えるため、味を安定させるため、日持ちさせるため。どれも消費者の求めに応えた結果でもあります。当社は、それらを否定する立場を取りません。
そのうえで、自分の食事については自分で選ぶ。その材料として、原材料表示があると考えています。
酵母エキス・タンパク加水分解物について
原材料表示でよく目にするものとして、酵母エキスとタンパク加水分解物があります。
どちらも分類上は食品添加物ではなく、食品として扱われている素材です。うま味やコクを補う目的で、加工食品に広く使われています。
酵母エキスは、酵母から抽出された成分です。タンパク加水分解物は、たんぱく質を分解して作られる素材です。いずれも、少量で味の輪郭を作れるという特徴があります。
当社は、これらを危険なものとして否定する立場を取りません。加工食品の味を安定させ、価格を抑えるうえで、役割を果たしている素材です。使われていること自体に問題があるとは考えていません。
ただ、原材料表示を見る習慣がなければ、これらが入っていること自体に気づく機会がありません。気づいたうえで選ぶか、気づかないまま選ぶか。当社が申し上げているのは、その違いについてです。
素材を無駄にしないという考え方
当社が取り扱っているだしの開発経緯に、印象に残っている話があります。
魚を使っただしを作るとき、通常は身の部分を使い、頭や骨は取り除かれます。取り除かれた部分には、まだ使える栄養が残っています。それをどうにか活かせないか、というところから始まったという話でした。
食材を余さず使うという発想は、目新しいものではありません。出汁がら、野菜の皮、魚のあら。かつては当たり前に使われていたものが、手間の都合で使われなくなってきた。その流れの中で、あえて全部を使う方法を探した、ということです。
同じ考え方は、主役ではない部分にも向けられていました。粉末のだしを作るには、素材の成分を留めておくための土台が必要になります。この商品では、澱粉を分解したものが使われています。表に出る素材ではありませんし、味を左右するものでもありません。それでも、何を使うかは選ばれています。
どこまで気にするかに、決まった正解はありません。ただ、目立たない部分にも選択の余地があるということは、知っておいてよいことだと思います。
この話に触れたとき、これは食品の作り方の話であると同時に、食べる側の姿勢の話でもあると感じました。
食事を整えようとするとき、新しいものを足すことばかり考えがちです。けれど、すでにあるものをきちんと使い切ることも、同じくらい食事を整えることだと思います。
冷蔵庫に残っている野菜を使い切る。作りすぎたものを翌日に回す。そうした小さなことの積み重ねが、日々の食事の質を決めていきます。
最初に変えるのは、食事のすべてではありません
ここまで読んで、やることが多いと感じられたかもしれません。
そう感じる必要はありません。全部を一度に変える方法は、ほとんどの場合うまくいきません。
始めるとしたら、こんなところからで十分です。
一日一回、味を確かめてから調味料を足す。味噌汁でも、炒め物でも構いません。先に一口飲んで、それから足す。順番を変えるだけです。
買い物のとき、一つだけ裏面を見る。全部を確認する必要はありません。よく買うものを一つ、見てみるだけです。
冷蔵庫の野菜を、一つ使い切る。献立を組み直す必要はありません。残っているものを、一つ減らすだけです。
どれも、今日からできて、失敗しようがないことです。続かなければやめて構いませんし、気が向いたときだけでも構いません。
食事を整えるというのは、こういうことの積み重ねだと考えています。
悪くなる前の状態に向き合うということ(未病)
東洋医学に、未病という言葉があります。
病気とまではいえないけれど、健やかともいいきれない。その間の状態を指す言葉として使われてきました。
なんとなく疲れが抜けない。よく眠れない日が続く。検査では特に問題がないと言われたけれど、以前とは違う気がする。そうした感覚を持ったことのある方は、少なくないと思います。
未病という考え方が示しているのは、悪くなってから対処するのではなく、日々の状態に目を向けるという姿勢です。
ここまで書いてきたことは、すべてこの姿勢につながっています。素材の味に意識を向けること。原材料表示を確認すること。あるものを使い切ること。どれも劇的な変化をもたらすものではありません。日々の小さな選択です。
その積み重ねが、未病という考え方が指しているものだと、当社は捉えています。
なお、未病は医学的な診断名ではありません。また、特定の食品を摂ることで未病の状態が改善する、という趣旨で述べているものでもありません。
こんな方へ
このページは、次のような方に向けて書いています。
- 健康診断をきっかけに食生活を見直したい方
- 毎日の食事や味付けを見直したい方
- 素材本来の味を意識したい方
当社がこの商品を強くお勧めしない理由
当社は、だしの商品を取り扱っています。
ただ、それを強くお勧めすることはしていません。このページも、商品を購入していただくために書いたものではありません。
理由は単純です。食事は、その人の生活そのものだからです。
家族の好み、かけられる時間、予算、住んでいる場所で手に入るもの。条件は人によってまったく違います。そこに外から「これがいい」と持ち込んでも、続きません。
続かないものは、意味がありません。
そして、何が続くかは人によって違います。同じやり方でも、無理なく続けられる方もいれば、どうしても合わない方もいます。無理を重ねて続けたものは、たいてい長くは持ちません。
続いているということは、それが自分に合っているということなのかもしれません。三日で終わる完璧な食事より、十年続く不完全な食事のほうが、結果として身体をつくるのではないかと考えています。
当社ができるのは、判断の材料をお渡しすることまでだと考えています。五味という見方があること。原材料表示という情報があること。そのうえでどうするかは、お一人ずつが決めることです。
商品については、必要だと感じられた方だけがご覧いただければ十分です。






